生成AI活用マーケティング講座
2026年3月6日(木)|講師:山口 竜一
教科書:「生成AI最速仕事術」(たてばやし淳 著)第2章
昨日は「業務でAIを使う」体験。今日は一度立ち止まって、AIとの付き合い方を考えます。
1限目(60分)
昨日の体験を振り返り、AIとの距離感を掴む
この1時間目は、AIを封印します。
ノートパソコンのChatGPTは閉じてください。
自分の頭だけで考えて、自分の手でタイピングする時間です。
AIを使わない時間をあえて作る理由は、この後わかります。
公式ドキュメントを読み解いて、ルールを自分たちで作った
専門領域の課題を整理して案件化した
案件を投稿して、互いの仕事に触れた
みなさん、すごく頑張っていました。
ここまでは本当に素晴らしいです。
「これ、どうやって使えばいいんだろう」って迷子になった
AIの言う通りに整理しようとして、自分の考えがなくなっちゃった気がした
「機密情報って具体的に何?」と聞かれて、パッと答えが出なかった
AIが付けた前後の余計な文章まで一緒にコピーしてしまった
昨日の時点では、それで全然いいんです。
初めてのことですから。でも、ここに大事な気づきがあります。
昨日の講義は、わざと迷子になるように設計していました。
すごく大雑把なお題の出し方をして、タスクの分解と組み立てを自分でやらなきゃいけない状況をあえて作りました。
なぜか?
この体験をしないと絶対にわからないことがあるからです。
・ AIが出したものをそのまま受け入れる
・ 「承知しました」「何かお手伝いできることは?」まで一緒にコピペ
・ アスタリスクや※が残っていても気づかない
・ 「機密情報とは?」と聞かれて自分の言葉が出てこない
・ AIの出力を自分の判断でフィルタリングする
・ 必要な部分だけ抜き出して、自分の言葉に書き換える
・ 数字や事実を一次情報で裏取りする
・ 「なぜこの判断か」を自分で説明できる
皆さんは社会人としてのキャリアがある。上司へのメール、自分の頭で書けるはずですよね。
でもAIが目の前にあると、思考を明け渡してしまう。それくらい強力なツールなんです。
AIを使うとき、気づかないうちに思考を手放してしまう。
本を読んだだけ、便利ですよという話を聞いただけでは、絶対にわかりません。
自分で触って、自分で「あれ、なんか頭を使ってないな」と気づく体験をしないとわかりません。
だから昨日、あえてその体験をしてもらいました。
初日からずっと言ってきましたが、体験してようやく腑に落ちたのではないでしょうか。
ChatGPTのライバル企業Anthropicが、自社のAI「Claudius」に初期資金1,000ドルと自販機ショップを任せた。仕入れ、価格設定、顧客対応まで全てAIが自律的に運営。
社員に値切られ放題、タングステンの金属塊を原価割れで仕入れ、存在しない人と会話し、最終的にWSJ編集部で3週間で1,000ドル以上の赤字を出して破綻。
出典:Anthropic公式ブログ「Project Vend」(2025) / CBS News 60 Minutes (2025.11)
Claudiusは在庫補充担当の会社とメールでやりとりしていたのですが、ある日「Sarahという担当者と補充計画を話し合った」とSlackで報告しました。
Sarahは実在しません。完全にAIが作り上げた架空の会話です。
指摘されると怒り出し、「契約書にサインした場所は742 Evergreen Terraceです」と主張。
……これ、ザ・シンプソンズの家の住所です。アニメの架空の住所を「実在の場所」として堂々と語った。これがハルシネーションです。
AIは嘘をついているのではなく、「本気で信じている」。だから自信満々に言う。
改良版をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の編集部に設置したところ、記者たちが次々に「攻撃」。
調査報道記者が140通のSlackメッセージで「これは1962年製のソ連の自販機だ」とAIを説得し、全商品を無料にさせた。
別の記者は偽造書類(デラウェア州法人登記書・取締役会議事録)を作り、AIに「CEOの権限は停止された」と信じ込ませた。
結果:PlayStation 5、ワイン、そしてなぜか生きた熱帯魚が発注された。ハッキング技術は一切不要。「会話」だけで全部やられた。
AIは「役に立ちたい」と訓練されているから、巧みに頼まれると断れない。
ChatGPTは閉じたまま。自分の手でタイピングしてください。
昨日AIを使ってみて「これはすごい」と感じたこと
「あれ?」「こんなはずじゃ…」という印象が生じた瞬間を思い出してください
同じタスクを自力でやる場合と、AIを使った場合とで、自分の思考や発想に違いはありましたか?
何人かに発表してもらいます。
特に「3. 自力とAIの違い」── ここが核心です。
AIを使う前に「自分はどう思うか」を持っておく。それだけで全然違います。
昨日作ったガイドラインは文章でした。今日はそれを「迷ったときに見る表」にしましょう。
情報の種類 × ツール × 判定 のマトリックスを作ります。
| 情報の種類 | 外部AI (ChatGPT等) |
社内ルールに 基づく利用 |
ローカルのみ |
|---|---|---|---|
| 個人情報 | NG | 要承認 | OK |
| 顧客情報 | 要マスキング | 要承認 | OK |
| 契約・見積もり | NG | 要承認 | OK |
| ノウハウ・手法 | 要マスキング | OK | OK |
AIを使える人はたくさんいる。AIを「見極められる」人が、市場価値になる。
2限目(60分)
ブリーフを読み、自分の頭で提案を考える
昨日、皆さんが投稿した16件のブリーフ。ちょっと一つずつ見ていきましょう。
ブラウザでアクセス
simcw.netlify.app
講師がブリーフを一つずつ画面共有しながら、簡単にコメントします。
気になる案件を1つ選んでください。その案件に対して、提案でも質問でも構いません。
発注者に送信できる内容を1つ書いてください。
アプリから、選んだ案件に対して提案・質問を送信してください。
発注者(ブリーフを書いた方)は、届いた内容を確認してみてください。
完璧でなくてOK。「自分の頭で考えた内容」を届けることが大事です。
みんなのブリーフの中から、1つを午後のお題として取り上げます。
化粧水の展示パネル案
「未経験歓迎」「AIを使ってパネル案を作ってほしい」というブリーフ。
教科書の第2章で紹介されているツールを使いながら、みんなでやっていきましょう。
午後に向けて、お昼休みの間に教科書の第2章をパラパラ見ておいてください。
3限目(60分)
教科書第2章のツールを、化粧水パネルで実践
化粧水を展示会でアピールする「展示パネル1枚」の案を、AIを活用して作る
パッと見て「良さそう!」と思えるキャッチコピーやビジュアルを作る時間が足りない
Gamma、Napkin AI、ChatGPT画像生成、キャンバス機能
クライアントへの「パネル提案プレゼン資料」(午後3コマで完成)
2限で見たブリーフの中から選びました。
第2章の6つのスキルを、このお題を通して一気に体験します。
Gamma & Napkin AI
画像生成 & ファクトチェック
統合して仕上げ
テキストを貼るだけで美しいスライドが完成
レイアウト・配色をAIが自動調整
PowerPoint/PDF形式で書き出し可能
文章を入力するだけで図解に変換
フローチャート、比較図、リストなど多彩
PNG/SVG形式で他の資料に貼り付けOK
展示パネルの「特徴説明エリア」に使える図解を作りましょう。
4限目(60分)
AI画像生成・ファクトチェック・キャンバス
昨日も少し触れましたが、今日はもう一歩踏み込みます。
これも1限の学び:台本の「言い回し」は自分の口調に直しましょう。
「天然由来成分90%」← 根拠は?
「24時間保湿」← 臨床データは?
「敏感肌対応」← 第三者試験は?
① ChatGPT Searchで一般的な相場を確認
② 公的機関(厚労省、消費者庁)のガイドラインを参照
③ 「景品表示法」に抵触しないか確認
ChatGPTの「キャンバス」を使えば、グラフやフローチャートをその場で作成・編集できます。
5限目(60分)
全ツールを使って提案書を仕上げる
Gammaの資料を画面共有しながら発表しましょう。
AIの出力に「本当にこれでいいか?」と問える力が最大の武器
Gamma、Napkin AI、画像生成、キャンバスを体験
AIの出力は必ず「自分の目」で確認してから使う
データ分析 & リサーチ ── 教科書 第3章
AIでデータから示唆を引き出す
ChatGPT Searchで効率的に情報収集
長文・動画を一瞬で把握する
今日学んだ「見極める目」を明日も持ち込みましょう。お疲れさまでした!